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O.C.S.D.チャリティーアート展 インタビュー 「田中かえ」

神尾なつみ
2023.11.10

11月17日からバーニーズ ニューヨーク銀座本店にて行われる「O.C.S.D.チャリティアート展」
今回は参加アーティスト『田中かえ』さんにインタビュー!
作品の見どころなどについて聞いてみました。

-これまでのキャリアと、現在のご活動について教えてください。

田中かえ:イラストレーターとアーティスト、という言い方で合ってるのか微妙なのですが(笑)

イラストを描くだけではなくて、それらを展示・販売しています。
アイドルさんとのコラボや、版権ものの「うる星☆やつら」や「ゲゲゲの鬼太郎」とのコラボもやっています。
ソフビやアパレルブランドとのコラボも最近増えてきたかな、という感じです。
お仕事のジャンルもプロレスやお笑いなど、自分の好きなものとのコラボはやるようにしていて、ジャンル問わずやっています。

-クライアントさんからの仕事が多いですか?

田中かえ:ありがたいことにそうですね。
今年の夏フェスからはじまってフェスの仕事が増えましたね。

実際にBEAMSの方や東映の方から連絡が来たりいろいろなお仕事をやっています。

-これまでのキャリアの中で、印象に残っていることはありますか?

田中かえ:最近だと「うる星☆やつら」とのコラボは嬉しかったですね。

その後立て続けに水木しげる先生とのコラボもありましたし、急に版権ものが増えたなという印象があって。田中かえの作品が世間一般に広がりはじめたのかな、と実感できて嬉しかったです。
昔、ファンアートみたいな感じで私が投稿していたような方々の作品だったので、自分のルーツに近い作品で嬉しかったです。

-クライアントさんからは何がきっかけでお声がけいただくのでしょうか?元から繋がりがあったのでしょうか?

田中かえ:「うる星やつら」とのコラボはBEAMSさんで、BEAMSさんは元々お世話になっていたのですが、版権ものは初めてでしたね。いつもの担当の方ではなかったのですが、その中で誰かが「この人いいよ」って言ってくれたのかな、と思います(笑)

運も良いです!

-現在に至るまでの道のりで、一貫して大切にしていることはありますか?

田中かえ:続けることですかね。辞めないこと。

なんでも続ければいいってものではないのは分かっているのですが、続け方にも色々あるじゃないですか。続け方が間違っているとあまりうまくいかないと思っていて。

例えばものを見るようにしたりとか、展示会に行くようにしたりとか、面白いなと思ったらちゃんとメモをする、とかをしながら続けることがベストかなと思います。

私の場合は毎日絵を描かないと下手になるんですよね。

-気になったことは思い切ってチャレンジするタイプですか?

田中かえ:私はファンアートが好きで。描かれるのも好きだし…誰かに描いてもらった自分の絵ってすごく嬉しいです。

例えば「うる星やつら」とか「エヴァンゲリオン」もそうですけど、私が描いた他のキャラクターは反応が良くて。この人が描いたらこうなるんだとか。昔Twitterとかでも「〇〇風に描いてみた」とかが流行ったりして、ファンアート目線からすると結構良いのかなと思います。

-作品の制作について教えてください。

目や顔が歪んだキャラクターシリーズなど、独創的かつ可愛らしい唯一無二の世界観は何がヒントで生まれるのでしょうか?

田中かえ:インスピレーションは絶対にここから出た!というものがいまいちなくて。

手塚治虫先生とか吾妻ひでお先生とか、影響を受けたものはもちろんあるのですが、多分それだけではなくて。どこから出てきたかわからないですが、大きく言えば手塚先生とかかもしれないです。(作風が)固まった時期がいまいち分からなくて。

すごく色々な絵を描いていたので分からないんですが、なんとなく大学3年生くらいから絵とキャラクターの形は決まっていて、でも今の女の子1人に対してワーッといる感じの絵とかはここ最近な気がしていています。

単純に構図とか、ここにもうちょっといっぱいいたら可愛いんじゃないかとかそういう部分が最近気になるところですね。

キャラクターがいっぱいいた方が良いわけではないけど、ここに3つぐらいキャラクターがいた方が良いとかバランスを見始めるようになりました。
可愛さというものもありつつ、ぐちゃぐちゃになりすぎたりも良くないかなと思って。引き算をするようになりました。

-キャラクターの体型などのバランスなどは作品づくりをする上で大切にされていますか?

田中かえ:そうですね。構図が悪いと良くないっていうのは美大を受験する時に言われていたので。なんとなく良い構図は分かるつもりなんですが、最近気にしはじめました。

-プロレスラーやアイドル、アパレルブランドなど幅広いコンテンツとコラボしていらっしゃいますが、今後積極的にやっていきたいお仕事などはありますか?また、クライアントさんとのお仕事で意識していることはありますか?

田中かえ:アイドルさんもプロレスラーさんも本人から直接連絡が来ることがないので、そういう時に本人がどう思っているかが気になっています。

本人がどこかで良いと思ってくれたから言ってくれてるはずなので、なんとなくのイメージは送っていただけるのですが、本人が好きな絵などを送っていただいて、絶対入れて欲しいモチーフありますか?とか。

アイドルだったら、好きな食べ物はありますか?や、私の絵柄で描いて欲しいキャラクターがいるか?など、そういうのは聞いてますね。

最終的に作って良くなかったなってご本人に思われたくないので。

フェスとかのグッズだと時期によってモチーフや、入れて欲しいものなどあらかじめ言っていただけます。

ラフはほぼ決定の状態で決めてやりますね。齟齬がないようには気をつけています。

-他のインタビュー記事で2回下書きを描かれると拝見したのですが、それは今もですか?

田中かえ:今も2回描きます。1回紙に描かないと描けなくて。

紙に描いてその後、それをもう一回デジタルで描き起こしをしてペン入れ、という感じです。

-ひと作品大体どのくらいで描き上がりますか?

田中かえ:ラフが固まる方が時間かかりますね。着彩と線画だったらそんなにかからないです。1、2日あれば。頑張ればそのくらいで描けます。

-ラフに結構時間がかかるのですね。

田中かえ:何タイプか出して、と言われる時もあるし、ある程度クライアントさんが言ってくれた状況で固めて、私も固まっていないと描けないので。絵よりもそこのやり取りの方が時間がかかりますね。

-制作に行き詰まった時にどういう向き合い方をされていますか?

田中かえ:やれない時はやれないですね。でも、ギリギリになってきたら焦るから頑張る、みたいな感じです。常日頃気を張っている訳ではないですね。

-今はアーティスト活動の他にやられていることはありますか?

田中かえ:会社員をしています。

・最近色々なところでご活躍されていますが、バランスを保つのは大変ではないですか?

田中かえ:確かに忙しくはなったなと思いますが、まだ許容範囲かなという感じです(笑)

展示とかが結構キツいのですが、個展を2月と4月にやった時は流石にキツかったです。

それをやらなければいい話なので、もうやらないよって感じです(笑)

自分次第なので。

-いつ頃からアートに興味を持ちはじめましたか?

田中かえ:特に、アートに興味はなかったですね。

それこそアニメや漫画は中学生の頃から好きで、「銀魂」のオタクでした。アニメ系のオタクではあったけどアートという感覚で考えると高校3年生くらいの時から興味を持ち始めた気がします。

受験勉強くらいの時期に、色んなアーティストとか画家を見なきゃいけないと思って、「あー、こういうのかー」という認識はあったけどアニメっぽいものからなかなか離れられなかったです。

大学に入ってからは結構展示を見に行くようになりました。学生の時は「アート」というものを意識していなかったです。

-進路を考え始めたのはいつ頃ですか?

田中かえ:大学に入りたくなくて、就職して早くお金を稼ぎたかったんですよ。

そしたら親に反対されて、確かにそれは夢が無いなって思って(笑)

好きなことはあるのかを先生に聞かれて、「絵は好きですね」って答えたんです。

美術学部も付属の大学にあるのですが、ちょっとつまらなそうだと思って、あんまり行きたくないなと思っていました。

だったら美術系の大学に行った方がいいんじゃないかなと思って、高校2年生の終わりに大学を受験することを決めました。

-絵を描くことを仕事にしたいと思っている学生さんに専門学校に進むか独学で絵を学ぶか、どちらを推奨しますか?個人的な意見で大丈夫です。

田中かえ:私は専門学校で学んでいたのですが、サボりがちな人は逆に行った方がいいかもしれないです。縛られた環境で決まった時間に行かなきゃいけないとか、そういうのがないとずっと家にいてしまうので。

朝から学校に行かなくてはいけないという縛りがあるから頑張れるし、学費が高いので、(今奨学金を返しまくっていますけど(笑))そういうのを考えたりして、多少重荷があった方が頑張れる気がします。高い学費を払ってるから、めっちゃこの学校で吸収しなきゃ!って思うんです。図書館で本を借りたり、先生に話聞いたりとかできるだけそういう風にしようと思っていて、大学は結構真面目に行ってました。単位もできるだけ取るようにしてたらプラスが付くくらい取れてました。サボりがちの人は本当に行った方が良いです。

1人でできる人もいるんですけど、それは才能なのでそのまま頑張って欲しいです。

-アートが最近好きになった方へ、おすすめのアートの楽しみ方を教えてください。

田中かえ:欲しい物によりますよね。いきなり絵画が欲しい!はちょっとキツいですが、でもO.C.S.D.のようなイベントは私と同世代くらいだったら3万とか5万とか頑張ったら買えるラインだと思います。できるだけ安く済ませようみたいな考えはあまり好きではなくて、頑張って稼いで買えば良いじゃん!って思ってしまいます(笑)

なんでそう思うかと言うと、ひとつ感動するエピソードがあって….

3,4年前くらいに高校生のファンの子が展示を見に来てくれていたんです。そして、私が大学に入ってもうすぐ就活をする時期に、高校生だった子が「もう会社員になったのでようやく絵を買えました!」っていう報告をしてくれて…。その話を聞いたときに、どこかで私の絵が欲しいと思ってくれていたんだなと、とても嬉しくなりました。

好きだけど買えない、というのは学生だと仕方がない部分もあると思います。

学生に対して言うのであれば、何年後か自分がこうなった時にお金が出て、初任給で初めて絵を買うみたいな。そういうのはアーティスト側からしたら結構嬉しいと思います。

ポストカードとかステッカーとかそういうのを出している人もいるけど、それを買ってくれるのもありがたい。でも、良いもの買いたいって思ってくれて、何年後でも良いから作品を買ってくれたら私はめっちゃ嬉しいですね。それを報告してくれることがとにかく嬉しいです!

-今は無料でアートを見に行けたりしますよね

田中かえ:そうですね。来てくれるのはとてもありがたいです。

-チャリティーアート展の作品について

Girl and Aliens

・今回の作品のポイントを教えてください。

田中かえ:色合いが今まで描いてきた感じではないので、そこを見ていただけたらなと思います。

私が単純にメカにハマっているというのもあるし、なんとなく水っぽい感じにしたかったですね。それは叶ったかなという感じです。

-やりたいことをやってみた、という感じですか?

田中かえ:そうですね。ラグジュアリーじゃないじゃん!って感じなんですけど(笑)

いつものテイストと若干違って、髪の毛の影の感じも変えてみました。

-女の子が乗っているクラゲも水っぽい感じで可愛らしいです!

田中かえ:そうですね。水っぽくしたくて描きました。

-今年のテーマである「TASTE・LUXURY・HUMOR」をどのようにして表現しようと思いましたか?

田中かえ:私自身がタイトルを付けない人間なので、抽象的なものしかないので大丈夫かな?と思いました。ラグジュアリーではないな、みたいな。テーマがヤンキーとかだったら合うと思うんですけど…(笑)

バーニーズ ニューヨーク(以下:バーニーズ)って、結構真面目な感じの作家さんがいっぱい出るのかなって思いましたけど、でもそんなにテーマって言ってもお堅い感じではなかったのでそこまで意識はしないけど、多少は上品にしたいなと思いました。

いつもあまり描かないけどクラゲを描いてみたりとか、色味はラグジュアリーにしたつもりです。そういう感じで進めてみました。

-今年のチャリティーアート展は、11月にバーニーズ ニューヨーク 銀座本店で行われますが、どのあたりに注目してほしいなどありますか?

田中かえ:色々な作品をたくさん見ることができて楽しいんじゃないかと思います。
バーニーズでやってくれるんだ!というか、高貴な感じもあります。
私のファンの方は普段あまり銀座に馴染みがないかもしれないですが、たまには銀座に来てみてくださいという感じです。
写真を撮ったりして、思い出の一部になってくれたら嬉しいです。

-テーマにある「LUXURY」にちなんで最近したプチ贅沢を教えてください。

田中かえ:つらいことがあったら牛タン屋さんにすぐ行くようにしています。
そこで、3000円のランチを食べます。そうすると大抵のことは解決するんですよね(笑)
2日連続で行くとさすがに贅沢しすぎかなと思うので、そういう時はステーキ屋さんに行きます!

-お肉がお好きなんですね(笑)

田中かえ:そうですね。お肉を食べれば大抵のことは解決します!

-これからの田中さまのご活動について

-田中かえ作品集「MELLOW」を出版されることを発表されていましたが、どのような流れで出版することになったのでしょうか?

田中かえ:最初は漫画描いてくださいって言われたんですよ。でも漫画は絶対描きたくないなと思っていて(笑)
画集とかってできますか?と聞いたら、やります!って言ってくださって。
元々よく私の展示に来てくださっていた方で、ご丁寧に展示会に来て挨拶をしてくださって。
とても素敵な方だったので嬉しかったです。

-これからの活動でやりたいことなどはありますか?

田中かえ:やれることはいっぱいあるなっていうのはあるのですが、なんだろうなあ…

めちゃくちゃデカいフィギュアとか?(笑)他人の力を借りないとできないようなことをやりたいですね。ぬいぐるみとかもやりたいなと思ってます。

-最近気になっているアーティストさんはいらっしゃいますか?

田中かえ:絵をあんまり見ていないですね。全然SNSでフォローしてないです。

見すぎると引っ張られちゃうのでイラストレーターさんの絵はあんまり見ないようにしています。

漫画だったら清野とおるさんの「スペアタウン」という漫画が面白くて好きです。

-田中かえ様の原動力は何でしょうか?

田中かえ:作品とかの写真をアップしてくれているのを見ると、買ってくれている人がいるんだ!っていうのが原動力ですね。飽きられてないんだな〜って思うし、フィギュアとかもちょくちょく載せてくれる人がいるので、まだ消えてないっぽい!って思います(笑)

いつもそんな感じのスタンスです。すごい自信がある訳でもないので。
集客には自信は持てないんですけど、実際に展示会場に行ったらまあまあ来てるじゃん!っていうこともあります。そういうのが原動力になっていたりしますね!

最近はお笑いも見ています。ずっと「Stray Kids」を追いかけてるんですけど、「aespa」とか「NCT」とか色々聴きます。洋楽も最近聴くようになりました。

-洋楽は何がきっかけで聴くようになったんですか?

田中かえ:サム・スミスのライブに行ったのがきっかけです。最前列でみることができて、とても印象的でした。そういえば、今まで洋楽通ってないなと思って色々聴いています。サム・スミスとかメーガンジースタリオンとか女性のラッパーが好きです。アニソンも聴くので音楽は幅広く聴きます。

-今後のご活躍も楽しみにしております!ありがとうございました!


PROFILE

田中かえ
1995年生まれ。イラストレーター。多摩美術大学を卒業後、活動を開始。近年では、乃木坂46や、モモコグミカンパニー(BiSH)、「オニツカタイガー」「ビームス」「TOWER RECORD」など、さまざまなジャンルとのコラボレーションをしている。
Instagram:https://www.instagram.com/kaechanha25/
X(旧Twitter):https://twitter.com/helloverysunday