photo
  • インタビュー

あいさつが響きあう風景

Sechong
2019.12.04

社会に出ると、これって学校の延長じゃないかと気づかされることがよくある。
月並みな言葉かもしれないが、学生時代に挨拶ぐらいできる子供だったら、
もっと先生や大人の言うことに耳を傾けていたらと、よく振り返ってしまう。


独りで生きていられるなら、挨拶なんていらないのかもしれない。
意思は言葉を変え、言葉は都市を変えてゆく。
もし、君に気になるあの子ができた時「挨拶」は君を輝かせる魔法になるかもしれない。


学校撮影の準備をしていると、すれ違うほぼ全員の生徒が「おはようございます」とお辞儀してくれる。
その姿を見て、僕の学生時代の希望が丘高校の印象が一瞬で消えた。
同じ時間を過ごして変わった学校と、あの頃と変わらない小さな声で挨拶を返す僕。
懐かしい朝の香りを感じながら、希望が丘高校の変化について少し聞いてみたくなった。

―希望が丘高校の名物先生って誰ですか?
この問いかけに生徒たちは色々な先生の名前を挙げてくれる、中でもよく上がる名前が「まごめ先生」だった。
まごめ先生の名前をあげる生徒達のキラキラした目を見た瞬間に、先生にインタビューしてみようと思った。

希望が丘高校の良いところは、とにかく素直で明るい生徒が多いところ。心の痛みを知っている生徒が多い。だからこそ優しい生徒も多い。

この春に着任された佐賀育ちのマゴメッチの話を聞いていると、その人柄がよくわかった。マゴメッチは「先生」と呼ばれた事がないのだと言う。生徒の話を聞いても先生の事をマゴちゃんやマゴメッチと呼んでおり、多くの生徒に愛されている。
そして出会ってすぐの僕もマゴメッチと呼び、その虜になった。

-希望が丘高校の良い所は?
「沢山ありすぎて何を1番に伝えたら良いかわからないなぁ」と頭を掻くマゴメッチ。
少し考えた後、「素直で思いやりある生徒が多いですね。」

-廊下を歩いていると明るく元気に挨拶してくれる生徒しかいなかったです。
「中には学校内では意気がった生徒もいるが、校門を一歩出ると率先して近所の方の荷物を持ち、気遣いができる生徒の姿を度々みますね」

高校時代を振り返ると、先生や親に言われてやるのが恥ずかしい年頃だったと思う。
思いやりは時間をかけて育てていかないと、どんどん反応ができなくなり、残念ながらやがて「知らん顔ができる大人」になってしまう。当然そんな人にはドラマのような出会いのチャンスは訪れないのだと思う(笑)

「影で見ていると、助け合いの心や熱い想いを持っているのはヤンチャな生徒の方が多く、たまに叱る時も、本当はいい(優しい)奴なんだよなぁと想いながらも、心を鬼にして指導します」

-先生方が生徒に対して気をつけていることなどはありますか?

「生徒が学ぶ事を諦めないように先生も伝える事に全力を捧げる授業を行なっているところは他にはない特色ですね。」

希望が丘高校では1年生は50分授業は行わず、30分1コマの中で集中して授業を行う。2年生になる頃には50分授業に慣れる生徒が増え、自信をつける子も多くなるらしい。

「後回しにする教え方をしない事も徹底していますね。わからないと聞いてくる子、聞きたいという子達に先生方が真摯に向き合うようにしています。授業の構成上時間内で解決できそうになければ、ただ後回しにする訳ではなく、「休み時間に時間を作るからやろうか!」「授業終わったら聞くね」など、いつ教えるのか?いつ聞いてあげられるのか?を明確に伝えるようにしています。
どんな小さな事でも生徒が興味を持った事を有耶無耶にしてしまうと生徒の心は離れていっちゃうと思うんですよね。」

短縮授業の40分で教えるのも大変な事だが、30分で1つの授業を完結させる事は組み立てがかなり難しいはずだ。必ず1コマで授業を完結させ、先生も一緒に戦っている姿がどこ知れず生徒にも伝わっているのかもしれない。

10月に開催される希望が丘高校の独自のお祭り「悠久祭」

希望が丘高校は文化部が少なく、その発表の場とする「文化祭」ができないのだという(文科省規定により)。とはいえ、文化祭は学生時代の大事な思い出の1つである。学校の先生たちが考えた末に出てきたのが、「悠久祭」という独自のお祭りを行うことだった。

「悠久祭では学科ごとに、ファッションショーやトータルビューティー科はエステなど希望が丘高校ならではの出店があり楽しいお祭りになりますよ!!中には腕相撲大会とかもありますし(笑)」

生徒の自主性を重んじたお祭りが開催され、学校を歩いていると悠久祭に向けての出店情報が告知されていたり、生徒もこのお祭りを楽しんでいるのが伝わった。悠久祭は一般参加もでき、地域の方との交流の場としても活用されているようだ。

-マゴメッチの野望「数年後にETロボコンで目指せ打倒!福工大城東!!」
マゴメッチはパソコン部の顧問を受け持っており、パソコン部は悠久祭に向けてオリジナルゲームを製作している真っ最中らしい。そして将来的にはパソコン部でETロボコンの出場を目指しているとの事だった。
「ETロボコンは、与えられたロボットで引かれている線を読み取って障害物や色々な試練をクリアできるか?という競技なんですよ。まだ参加している高校が少なく、大学や企業などが参加している大会です。」

-ETロボコンは何年後ぐらいに?
「2年後に参加できればいいなと考えております。今のパソコン部であれば生徒も育ってきているので、目指しても良い大会かなと考えてます。いずれは打倒!!福工大城東!!と言えるぐらいまで強くなってくれると嬉しいですね(笑)」

-1つの目標に向かって頑張る生徒を見ると指導に熱が入りそうですね。
「彼らが主役のステージなので僕は影で頑張れ!と見守るだけです(笑)」

体育祭の出し物「演舞」は見ものです!!


-体育祭などはどうでしょうか?
「部活対抗リレーは凄いですよ!どの部が1位になると思います?」

-サッカー部とか陸上部ですかね?
「相撲部です(笑)」

-えー!!(驚)
走るコースこそ有利な場所なんですが、大きな体がどんどんスピードをあげて抜いていく姿は圧巻ですね〜(笑)」

-それは盛り上がりますね!!
「今年初めて体育祭に参加したんですが、他にはないことでいうと、普通だと応援合戦というのがあると思うのですが、希望が丘は男子が「演舞」、女子は「創作ダンス」をそれぞれ8分でやる演目があります。一緒にやるのが一般的だと思うのですが、1〜3年生の男子全員と女子が最近のJ-POPや流行の曲で踊ったりするんですが、こういうやり方があるのか〜と感心しましたね」

-どのような曲で踊るんですか?
「袴とかは一切着ずに自由なスタイルでJ-POPやK-POPなどを踊るのですが、生徒はすごく真剣なので、見てて楽しいですよ〜!!」

君の人生はここからスタートだよ


-これから希望が丘高校に入る生徒達にメッセージなどありますか?
「中学校がどんなに悪くても、先生達に無視されても、ここはそういう場所じゃないよと言うのは伝えたいですね。うちは転校してくる学生も多いです。」

-学生生活をドロップアウトした子も多いのでしょうか?
「そうですね。最初に戻ってしまうのですが、うちには人の痛みを知っている生徒が多いです。だからこそ、変われた時は大きいですよね!生徒を信じているからこそ退学はできる限りさせたくないと言う先生が多いです。どの生徒にも伝えているのですが、ここからが君のスタートだよと伝えてます。諦めない限りは一緒に頑張ろう!と思ってくれる先生が多い学校じゃないかな?と思いますね」

借り物の言葉だが、もし、何かにつまずいたとき、間違いに気づいたとき、並行する世界の僕は今、どの辺にいるのだろう。と思う事がある。

そう考えるとやはり挨拶は魔法である。



九州電機工業学園 希望が丘高等学校

採用校ページ:https://www.ocsd.jp/school/fukuoka-kibou/