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「わたし」を表現するために選択
できる制服。フェリシア高等学校の制服リニューアルに込められた思い

三浦えり
2023.04.01

鶴川高等学校は2023年度からフェリシア高等学校として新しく生まれ変わります。今回は制服のリニューアルを進めた学校法人明泉学園理事長・百瀬義貴と制服のデザインを担当したオサレカンパニークリエイティブディレクター茅野しのぶから、新しい制服への思いやお話をお伺いしました。

百瀬義貴(フェリシア高等学校 学校法人明泉学園理事長)×茅野しのぶ(オサレカンパニー クリエイティブディレクター)

-制服デザインを新しくした理由を教えてください。

百瀬理事長: 私が理事長を拝命した昨年の8月、先生方をはじめとする仲間たちと鶴川高等学校に新しい価値を生み出そうと熟考するなかで「フェリシア高等学校」という名称の変更や制服のリニューアルを熟慮断行することとなりました。

百瀬理事長:本学園では「顧客視点」を大切にしています。学校が生徒に押し付ける制服ではなく生徒が「着たい!」と思えるようなデザインを提案していただけるデザイナーを探し、O.C.S.D.さんにお願いしました。

茅野: 制服のデザインをする前に学校を訪れ、先生たちのお話を聞くなかで、これから学校が新しく変わり、生徒さんたちを導いていくための情熱を強く感じ、それが学校の空気感として伝わってきました。制服にも先生方のそんな思いを込めたいと思いました。

また、先生方が定時には退勤されるのに驚きました。学校の先生の働き方が社会で問題になっているなかで、フェリシア高等学校は先生に対してもいまの時代に合った新しい取り組みをしていると感じました。先生が健やかにいられるからこそ、生徒さんへの向き合い方も情熱を持つことができるのではないでしょうか。

-「フェリシア高等学校」と学校の名前も変わります。どのような想いを制服に反映してもらうように依頼したのでしょうか。

百瀬理事長: フェリシアは鮮やかなブルーが爽やかな印象を与える可愛らしい花です。フェリシアの花は淡いブルーや濃いブルーなどさまざまあり、まるで本校の多感な生徒たちのようです。そんな彼女たちが纏う制服だからこそ、フェリシアの小さな可愛らしい蕾が開花するような希望と喜び、可愛らしさ、清楚感、凛とした自信に満ち溢れた笑顔、個性、そういったものイメージしてデザインに取り入れてほしいとご依頼をいたしました。

-こだわって欲しいと茅野さんにお願いしたことはありますか?

百瀬理事長:やはりスラックスです。男子生徒用のスラックスを流用するのは嫌でした。「女性はスカートが当たり前」の時代はとっくに終わっています。逆にスラックスは男性の履くものという意識でいると、なかなか女性の立場や視点に立ったスラックスは完成しないまま時代が流れてしまう。多感な時期真っ只中の生徒たちの心の変化は様々です。その子たちが「かっこいい!」「スカートもいいけどこのスラックスも履きたい!」と思ってもらいたいという想いが強くあります。

茅野: 今回の制服をデザインしたなかで、スラックスに関しては私の一番の推しポイントです。市場に出ている女性用のスラックスは、男性用を女性サイズにしている場合がほとんどだと思います。今回の制服は最初から女性が履くスラックスとしてパターンを形成しているので、女性の身体に似合うパンツ作りにこだわることができ、とても革新的なことができたのではと思います。

–選択肢のある制服というのが特徴ですね。

百瀬理事長: 生徒みなさんがそれぞれ人と違うことをしたいときには、学校の決められたルールの中で選択の自由というものを与えたいという強い思いがあります。制服においても、生徒みなさんが日々の気持ちの変化によって選んで欲しいと思っています。

茅野: 生徒さんは自分が何者なのか、将来どういう風に生きていくのか、たくさん悩む時期だと思います。フェリシア高等学校の先生たちは人生設計や自己形成についての教えを通して生徒の選択の自由を大切にしていますよね。学校のルールのなかで自分の気持ちをどんなふうに表現するかは彼女たちの自由であり、その選択によって考える力を養うことができると思います。制服も生徒さんたちの日常の表現であり、彼女たち自身で選択できるデザインにするように心がけました。

₋フェリシア高等学校は新しい取り組みをどんどん取り入れてますね。

百瀬理事長:制服のリニューアルの他にも2022年度より、義務教育の学びまで立ち返るための0時間目を開講し「学び直しの時間」としました。義務教育の中でわからないことをわからないままにしてしまった生徒たちの視点に立ち生まれたものです。これにより成功体験をし、自身を認める自信につながってくれたらと取り組んでいます。スタートしてから多くの生徒が0時間目に参加し楽しみながら学んでくれており、実際に生徒たちの理解も深まり自信がつき始めているという報告を受けてとても嬉しく思っています。

–新しい制服を着た生徒たちへのエールをお願いします!

百瀬理事長: フェリシア高等学校にはなんでも相談できる先生や友人たちが見つかるはずです。学校生活の中で切磋琢磨していき、喜怒哀楽を共にして、失敗の経験をたくさんして、思い出をたくさん作って欲しいです。何も恐れることなく、誇りを持ってどんどん失敗をして、たくさん学んでもらいたいです。

茅野: 新しい制服は先生たちのこだわりがたくさん集まり、愛と思いやりと情熱が詰まっています。この学校には同じ制服を着た仲間たちがいて、制服一つにこれだけいっぱい悩み、情熱を注いでくれる先生たちがいます。何かに悩んだときは、きっとフェリシア高等学校の先生が力になってくれると思います。そして、この制服を着て、学校生活を謳歌し、青春を過ごして欲しいです。


百瀬義貴(ももせ よしたか)
フェリシア高等学校 学校法人明泉学園 学園長・理事長

2021年8月に3代目理事長に就任、少子化などにより私立学校はとても厳しい経営環境に直面しているが、幼稚園・保育園・高等学校・短期大学を擁する明泉学園の改革に着手している。
2022年度からは現在日本短期大学協会理事・東京都短期大学協会監事を拝命し、社会貢献として渋谷の明治通り宮下パーク商店会の会長を務める。
事業内容 :フェリシアこども短期大学、鶴川高等学校、フェリシア幼稚園、鶴川フェリシア保育園、成瀬フェリシア保育園などを運営

フェリシア高等学校 公式HP:http://felicia.ed.jp/


茅野しのぶ(かやの しのぶ)
株式会社オサレカンパニー クリエイティブディレクター

AKB48創設当初より総合プロデューサー秋元康氏の下で衣装担当として活動。
その後、デザイン・衣装・ヘアメイクなどの事業を担うオサレカンパニー社のクリエイティブディレクターに就任。
これまでに制作した衣装はおよそ35,000着。メンバーの個性を引き出す豊富な衣装デザインとバリエーションに定評があり、AKB48以外にも、=LOVEや≠ME・≒JOYといったアイドルから、声優、コスプレイヤー、2.5次元アーティストの衣装、さらに近年では学校制服・医療制服のプロデュースなども行う。

オサレカンパニー 公式HP:https://www.osarecompany.com/

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