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  • インタビュー

O.C.S.D.チャリティーアート展インタビュー「急行2号」

2023.11.09

‐これまでのキャリアと、現在のご活動について教えてください。

急行2号:2017年末から展示や即売会のイベント活動を始めていて、昨年9月に翔泳社さんから初めて作品集を出版させていただきました。

佐賀や福岡で活動しているのですが、今年1月に渋谷モディや4月に心斎橋パルコなど東京や大阪の方でも個展を開催させていただいています。

最近だと、9月末から10月頭にかけて、伊勢丹新宿で個展を開催いたしました。

‐SNSで絵を投稿するようになったのは学生の頃からですか?

急行2号:そうですね。SNSは8年前くらいから始めているので 、自分で絵を描いて投稿するのは昔からやっていました。

‐幼い頃からアートに興味はありましたか?

急行2号:「アート」というものは意識していなかったのですが、絵を描くこと自体は幼い頃からやっていました。

-絵に興味を持ち始めたきっかけは?

急行2号:気づいたら興味を持っていました。保育園の頃はアニメのキャラクターを描いたり、ポケモンパンのシールの絵を描いたりしていました。叔父と叔母が画家活動をしているので、中学校くらいからたまに2人が開いていたカルチャースクールに遊びに行かせてもらったりして過ごしていました。

‐カルチャースクールでは具体的にどういったことをしていたのですか?

急行2号:年代がバラバラな生徒さんが自由に絵を描いている場所でした。

‐絵を描き始めた頃は水彩画を描かれていたとのことですが、水彩画を始めたきっかけはありますか?

急行2号:最初家にあったのはアクリル絵の具だったのですが、ものすごく扱いが難しいな、と感じてしまったので、それだったら透明水彩はどうだろうと思ってやり始めたのがきっかけですね。

‐水彩画を描いていた頃から現在の作品のスタイルに変わるまでの経緯を教えてください。

急行2号:水彩画を始めた時はアニメやゲームの二次創作も趣味で描いていました。

元々女の子を描くのが好きだったというのもありましたし、福岡で女の子がテーマのグループ展に参加する機会が多かったので、自然と女の子ばかり描くようになっていました。

そのグループ展に何回か出させていただく間にiPadを買ったり、画材を変えるタイミングがあったので今の作風にいたります。

‐グループ展で一緒になったアーティストさんからの刺激を受けながらご自身の作品のスタイルを確立されてきたのですね。

急行2号:そうですね。色々な表現で描かれている方が集まっていたので、その中で「自分が可愛いと思う女の子ってどんな人だろう。」というのをすごく考えていました。

‐これまでのアーティスト活動の中で、印象に残っている出来事はありますか?

急行2号:iPadに変えた時期から「絵がいいね」と褒めていただけることが増えたな、とは思います。自分なりに人物に光を当てて、画面の中にコントラストが生まれると自分で描いていても『お〜!』と感動する瞬間があります。ご依頼では、内に何かしらの意志を秘めた女の子をリクエストされることが多いのも印象深いです。

‐若い方だと手描きで絵を描いている方が多いと思うのですが、iPadをどうやって始めたら良いかアドバイスがあれば教えてください。

急行2号:使うアプリによって描き心地が全然違うと思うので、まず自分が一番描きやすいと思うアプリを探すのが大事ですね。あとは、自分で描いた完成品と誰かのイラストを見比べて、もしかしたらここの表現を変えたらもうちょっと上手くいくかもしれないとか、自分の絵を見つめ直しながらやっていくといいと思います。あとは「iPad イラスト 描き方」でネット検索して自分に合ったテクニックを一つずつ試すといいかもしれません。

‐作品の制作について教えてください。

どのようにアイディアを思い描き、完成に至るのでしょうか?

急行2号:前提として『笑わなくても可愛い女の子』をテーマに描いているのですが、そのテーマから逸れず、かつその時の自分が描きたい女性のパーツ、例えば目だったりEラインだったり、これを描きたい!と思った時にバッと描くことが多くて。

私の絵を見てくださった方は、やはり光の表現を褒めてくださる方が多いので、人物に大胆な光を当てたりと、そういう表現をするように心がけています。

絵はどうしても平面的になってしまうので、そういう中でもちょっと奥行きを感じられるように描く、というのも意識しています。

‐絵を描く中で、一番テンションが上がる瞬間はどの行程ですか?

急行2号:例えば今回の絵で言うと、光が当たっている部分のアクセサリーのきらめいている表現を描いたり、瞳のハイライトだったりそういうものを描いている時に『お!もうすぐで完成!』という感じでテンションが上がります。

<ご自身の学生時代について>

‐どのような学生でしたか?

急行2号:人と関わることがあまり得意ではなく、通信制高校に通っていたこともあって、自分の時間を過ごすことが多かったです。

‐通信制というのは一切学校には行かず、ご自宅で学習していたのですか?

急行2号:月2回は登校しなければいけなかったのですが、それ以外は基本自宅で自習していました。

‐専門学校などには通われましたか?

急行2号:行っていないです。独学で学びました。

‐どのような場所で絵を学ばれたのですか?

急行2号:当時は今みたいなSNSよりも個人のホームページを作っている方が多かったので、そういう人たちを探しながらどんな風に描いているかだったり、本屋さんに行って絵の描き方や、画集を買ったりして自分なりに試行錯誤してきました。今も同じように色々試しながら描いています。

‐学校に通われてアーティストになった方もいる中で、独学と聞いて驚きました!

急行2号:本当ですか(笑)ありがとうございます。

私からすると、きちんと学校で学んだ方々の方がすごいし、羨ましいなと思います。

‐学生の頃から今までに一貫して続けていることはありますか?

急行2号:前は雑誌を買って集めたり、その雑誌の中から好きなページを切り取って集めたりしていました。最近は電子書籍で見ることが多くなったのですが、女性誌を見たり、Instagramを見ながら自分が心動かされるようなものを探しています。

‐このインタビューを見ているアートの道を志す学生のみなさんにメッセージをお願いします。

急行2号:私は独学で絵を描いているので、大学や専門学校を出た方たちがすごく羨ましいと感じることが多いです。きちんと学んで身につけた知識や技術が多ければ多いほど描きたい絵への近道になると思うので。個人的な意見にはなるのですが、もし学校に通える環境であるのであればそういう道に進んで、学べるだけ学んで、知識も身につけられるだけ身につけた方が良いように思います。自分がどんなものを描いている時が楽しいかをきちんと認識することも大事ですし、自分の絵を描けるのは自分だけだと思うので。どんどん何かしらを作り出していって欲しいです。

‐急行2号様はSNSでの発信が大きなきっかけとなって、世間に認知されていったと思うのですが、SNSの発信をやりたいと思っているけれど、なかなか行動に移せていない方にアドバイスするとしたら、どんなことを伝えたいですか?

急行2号:私も常に自分に自信がないのですが、自信がないから行動しないのでおこうというのは非常にもったいないな、と思っているので、これを投稿しても誰も見てくれないしと思わず、SNSに投稿して欲しいと思っています。

自信は後から付いてくると思うので、何か新しいことができそうなチャンスが巡ってきたのであれば、なりふり構わず飛び込んでほしいです。

自信ってどうやって付ければ良いんですかね?(笑)

‐学生の頃だと先生や友達に褒められた時とかですかね…?

急行2号:あ〜確かに!それで言うと私もSNSとか展示活動に出はじめてから、「こういう光の表現いいですね」とか褒められたりすることが多くて、何回か同じポイントを褒められるうちに『あ、ここちゃんと表現できているのかもしれない』と、そこではじめて自信に繋がったりすることもあります。

ただ、他人に褒められないと。と思うのもダメで。自分の軸をちゃんと持っておかないと他人の意見に流されてしまうな、とも思います。


タイトル:「YUNA」

<チャリティーアート展の作品について>

‐今回の作品のポイントを教えてください。

急行2号:いつも女性の表情とか顔に注目したような絵を描いているので、今回みたいに服装だったりメイクだったり外見にこだわったものは珍しいなと思います。

‐確かに!そう思いました!
急行2号様の他の作品はお顔に寄った作品が多い印象なので、バーニーズ ニューヨーク(以下:バーニーズ)ということで、服装を普段より服装を意識されたのかな、と勝手に思っていました!

急行2号:そうです!ありがとうございます!

‐今年のテーマである「TASTE・LUXURY・HUMOR」をどのようにして表現しようと思いましたか?

急行2号:ものすごく難しかったんですけど、フォーマルからカジュアルなアイテムを揃えてらっしゃるショップなので、どのジャンルを求めるお客様でも見ていただきやすいようなそういう服装にしようとは思いました。落ち着いたトーンでまとめたり、首元や袖からインナーがのぞいていたり、肩のストラップを変えて服装を変えてレイヤードして楽しんでいる様子も描きました。

‐作品の中でアクセサリーは普段はあまり取り入れていないですよね。

急行2号:そうですね。取り入れることは少ないですね。

‐今回のポイントになりそうですね!

急行2号:そうですね。ラグジュアリーは「豪華絢爛」の意味とは異なる心豊かにするものということだったので、アクセサリーは取り入れるけどそこだけ目立つのではなく、メイクとか服装とかネイルを含めておしゃれを自分なりに楽しんでいる、自分で自分の心を豊かにしている女性を描こうと思いました。

‐実際に制作を進めてみて、イメージ通りに進みましたか?

急行2号:ユーモア感をどうやって出せばいいのだろう、というのはすごく悩みました。人物の瞳に重なるように当てた明るい光や、口元や目元のほくろが目立つと思うのですが、実は小指にもほくろがあったりと、そういう部分を楽しんでいただけたらいいなと考えて描きました。

‐今年のチャリティーアート展は、11月にバーニーズ ニューヨーク 銀座本店で行われますが、どのあたりに注目してほしいなどありますか?

急行2号:いろんな作家さんがいらっしゃるので、どんな風にディスプレイされるか私も楽しみにしているところなんですが、他の作家さんの作品と一緒に「この人はこんな風に表現してる」とか「この人はここにこだわって描いている」とかそんなことを考えながら絵に注目していただけたらなと思います。


‐最近のアート業界については、どのように考えられていますか?

急行2号:自分の中でアートはこれ!っていう答えがまだ明確に決まってないんですけど、それぞれの作家さんがそれぞれの表現で活動されているなというのはSNS等を見ていて思います。基本的に1人で絵を描いている日が多いので、人の考えに直接触れる機会が少ないのですが、みなさん多分何かしら考えながら描いているんだろうなと思っています。

みなさんの活動が良い方向に向かえばいいなと思っています。

‐急行2号様のファンの方は若い方が多いですか?年齢層を教えてください。

急行2号:20代前半から上は結構何歳でもいらっしゃるような感覚です。

男女比で言うと女性が6、男性が4くらいのイメージです。

-最近アートが好きになった方には、どういったかたちでアートを楽しんでもらいたいですか?おすすめなどあれば教えてください。

急行2号:福岡はギャラリーとカフェが併設されているところが何軒かあるので、そういうところに気軽にフラッとコーヒーとかを飲みに行ったり、出かけてみてほしいなと思います。あと、小さいもので構わないので、気に入った絵をお部屋に飾っていただけたら嬉しいです。

‐カフェも併設されていたら気軽に行けそうですね。

急行2号:そうですね。若い方が多く来ている印象です。

‐これからの活動でやりたいことなどはありますか?

急行2号:今アクリル絵の具と油絵に挑戦しているところなんですが、デジタルでの表現をそのまま絵の具で再現することがものすごく難しいです。上手くできていない状態なのでもうちょっとアナログ方面で絵が上手くなれたらな、と思っています。

‐今作品をお仕事で制作されている傍らで、絵の練習をされているのですか?

急行2号:そうです。仕事して息抜きしたいなと思ったら絵の具を扱う、みたいな感じでやっています。

‐休む暇が無さそうなのですが、大変ではないですか?

急行2号:絵を描いていないと逆に『え、今絵描いてないけど大丈夫かな?』と不安になってしまうので(笑)

-お忙しい中インタビューを受けていただきありがとうございました!


PROFILE

急行2号

佐賀県在住。2017年末から活動開始。福岡を中心にイベントや展示に出展。2022年9⽉、翔泳社から初の作品集「 ILLUSTRATION MAKING & VISUAL BOOK」が発売された。彼⼥が描く「同性が憧れる⼥性」は同世代からの安定した⽀持を得ている⼀方、情景や男性などの新たな表現にも精⼒的にチャレンジしている。

X(旧Twitter):https://twitter.com/kyuko2go
Instagram:https://www.instagram.com/kyuko2goart/